「プロダクトは終わる」と言われた。終わるのは役割で、価値はむしろ上がる
少し前、とある交流会で、ある中小企業の経営者の方が「もうプロダクトなんて誰でも作れるようになる、だからプロダクトビジネスなんて終わる」と言っていました。
たしかに、AIによって“作る”ことのハードルはかなり下がっています。簡単な業務アプリ、社内向けのAIエージェント、独自のワークフロー、ちょっとした分析ツール。これまで外注したりSaaSに合わせたりしないと作れなかったものが、かなり内製しやすくなっている。
でも、正直違和感しかない発言でした。本当にプロダクトは終わるのか。むしろ、変わるのは「プロダクトの価値」なのではないかと思っています。
これまでのSaaSは、「業務を標準化しました」「この型に合わせればうまく回ります」という価値が大きかった。でもAI時代には、各社が自社固有の業務ルールや判断基準を、自分たちで実装しやすくなる。
そうなると、外部プロダクトに求められるのは、業務を丸ごと代替することではない。むしろ、権限管理・監査ログ・セキュリティ・ワークフロー・通知・履歴管理・API連携・データモデル・運用の安定性のような、内製AIや独自業務を安全に動かすための共通基盤になっていくのではないか。
さらに、外部プロダクトにはもう一つ大きな価値があります。共通プラットフォームに乗ることで、自社だけでは見えない差分が見えることです。
たとえば目標管理やマネジメントの領域なら、自社の目標設定は他社と比べて抽象的なのか、進捗確認の頻度は高いのか低いのか、振り返りの質に差があるのか、運用が定着する会社としない会社の違いは何か。こうしたことは、自社だけのデータを見ていてもなかなか分かりません。
内製AIは自社に最適化しやすい。一方で、外部プロダクトは複数社の共通基盤だからこそ見える比較やベストプラクティスを提供できる。
プロダクトが終わるのではなく、プロダクトの役割が変わる。これからのプロダクトは、顧客の業務を囲い込むものではなく、顧客の内製化やAI活用を支える土台になっていくのだと思います。