評価と目標設定を1週間で終える会社は、なぜ「課題はない」と言えるのか——結局、制度より対話だった
この記事の要点
- 300社超で唯一「目標や評価に課題は全くない」と言った会社は、評価と目標設定を合わせて1週間で終えていた
- 短すぎるからこそイベントとして成立せず、日常でやるしかなくなる
- 問題は評価制度そのものではなく、評価をイベントとして設計してしまっていること
なぜ評価制度は複雑になるのか
最近いろんな会社と話していて、ずっと違和感があることがありまして。
評価制度って、なんであんなに複雑になるんでしょうね。そして、複雑が故に皆さん運用ができなくなっていく。
項目を増やして、定義を細かくして、納得感を上げようとする。 でも結局どの会社も「評価がうまくいっていない」と言う。
冷静に考えると、おかしな話じゃないですか?
「課題は全くない」と言った会社は、何をしていたのか
ヒアリングや商談をした300社超くらいの中で、唯一と言っていいくらい「目標や評価に課題は全くない」と言っていた会社がある。
IT系のメガベンチャー企業だった。
最初は制度が凄い優れているのかなと思ったけど、話を聞いたら全然違った。
評価期間と目標設定期間を合わせても、1週間弱しかないらしい。5営業日で終わらせるとのこと。
ただ、手を抜いているわけじゃない。その1週間の中でちゃんと前期の評価をして、目標を立てる。フィードバックの後には必ずアンケートも取って、制度自体のPDCAも回している。加えて週1で1on1をやっていて、目標のズレをその都度潰している。
面白い。最初は意味がわからなかった。
短すぎる、でもだからこそ成立している
他の企業と比べると、どう考えても短すぎる。
振り返る時間もないし、評価ロジックを作る時間もないし、 納得感を担保するための説明なんてなおさらできない。といろんな会社は思うと思う。
多分大きな違いは目標や評価をイベントとして運営しているか、マネジメントの一環として運営しているかの違いなんじゃないかと思う。
大体の会社は目標や評価は半期に1回、または年に1回のイベントになっている。
評価がイベントになると何が起きるか
一般的な会社はこうなっている。
半期で目標を立てる
期中はなんとなく進む
期末に評価する
この構造だと、期末に全部が寄ってくる。
何をやっていたか思い出して、評価のためにロジックを作って、納得させるために説明する。
そうすると当然、その時期だけ頑張る。それ以外は優先度が下がる。後から辻褄を合わせる。
結果として、上手く回らずに、色々ルールや基準を追加し制度はどんどん複雑になっていく。
評価期間を短くすると、イベントとして成立しなくなる
一方で、評価と目標設定が1週間しかなかったら、まず、イベントとして成立しない。
その場で考える時間がない。後から整える余地もない。説明にも時間をかけられない。
結果として、評価をイベントとして扱うこと自体が、不可能になる。
そうなると、逆説的だけど、日常でやるしかなくなる。
目標のすり合わせ、進捗の確認、フィードバック、評価の合意。 これを1on1や日々の対話の中でやり続けるしかない。
その話を聞いてから僕も1on1の中ですり合わせをするようにしたら、確かに目標作るときも評価をするときも、「いつも話し合っている内容ですもんね。」ということで、異常にスムーズに終わった。なにこれ凄いじゃん。
毎回目標を題材にした1on1で評価のズレを防ぐ具体的な3つのことは300社超で唯一「評価に課題はない」と言い切った会社の、たった一つの共通点に書きました。
もしかしたら評価期間を短くしたらみんなもそうするのかも?
ここで一つ仮説をたてたのは、評価期間・目標設定期間を極端に短くしたら、現場のみんなも日常的に話すようになるのでは?ということ。
評価期間を極端に短くすることで、日常でやらざるを得なくするというアプローチはどうでしょうか。
つまり問題は評価制度自体じゃなくて、「評価をイベントとして設計してしまっていること」だと定義してそこを破壊することで解決できるのではないかと思った。
日常になると、評価の意味が変わる
常にやるしかない状態になると、評価の意味も変わる。
最後に点数をつけるものじゃなくて、日々の対話の積み重ねの確認になる。
この状態のほうが、組織として強い。
目標がズレない。優先順位がブレない。フィードバックが遅れない。学習速度が落ちない。
マネージャーが「評価のために頑張る」んじゃなくて、「日々の仕事の中で自然に評価が完成している」状態になる。
そしてそっちのほうがマネージャーさんも圧倒的に楽ですよね。
まとめ:前提を壊して考えると、設計はシンプルになる
評価制度の問題は、制度の中身じゃなくて構造にある。
評価制度が作っても回らなくなる理由はなぜ評価制度は「作っても回らない」のかに書いています。
「期初に考えて、期末に評価する」という時間設計が、評価をイベントにしている。イベントになるから複雑化する。複雑化するから運用できなくなる。
前提を一回全部捨てて「評価って何のためにあるんだっけ」から考え直すと、1週間あれば十分じゃん?ってなるのでは?
人は「やるべきだからやる」わけじゃなくて、「やらないと回らないからやる」
制度をより良くしようとこねくりまわすより、制度に頼らなくていい状態を設計する。それだけで、組織のマネジメントは根本から変わるかもしれないなぁと思いました。
評価が「イベント化」してしまう構造と、それを日常に戻す方法は評価が「イベント化」する理由と、日常に戻す方法で詳しく書いています。目標・対話・評価を回し続けること全体はパフォーマンスマネジメントにまとめました。(「制度より対話」を仕組みで支えるのがコレドウのプロダクトです。)
よくある質問
評価制度が複雑になるのはなぜですか?
期初に考えて期末に評価するという時間設計が、評価をイベントにするからです。期末に全部が寄ってきて、辻褄合わせのために基準を足し、制度が複雑になって運用できなくなります。問題は制度の中身ではなく構造だと考えています。
評価期間を短くするとどうなりますか?
評価と目標設定が1週間しかなければ、考える時間も後から整える余地もなく、イベントとして成立しなくなります。そうなると日常の1on1や対話でやるしかなくなる、というのが僕の仮説です。
評価をイベントにしないためにはどうすればいいですか?
目標のすり合わせ、進捗の確認、フィードバック、評価の合意を、1on1や日々の対話の中でやり続けることです。そうなると評価は点数をつけるものから、日々の対話の積み重ねの確認に変わります。
この記事の土台になっている考え方の全体像は、パフォーマンスマネジメントとは何かにまとめています。体系的な解説はコレドウ・パフォーマンスマネジメント全書(抜粋版)へ。