AIで“作る”のは簡単になった。それでも破綻するのは、いつも運用だ
この記事の要点
- 同じAIに対して「嘘つき」と「すごい」が同居するのは、場面ごとに評価軸が変わっているから
- 判断を任せると怒り、作業を任せると感動する。どちらも設計した人間の責任範囲にある
- コードは動いた瞬間に正解に見えるが、壁打ちと同じレベルのミスが見えないまま埋まっている
最近ちょっと思うことがありまして。
AIに壁打ちしたり、相談したりしてる人が、
「AIは嘘ばっかりつく」
「ハルシネーション怖い」
「情報漏洩が」
みたいなことを言いながら、AIにキレてる場面、よく見かけます。
その一方で、同じ人がClaudeコードとかでちょっとしたツールを作れたりすると、
「AIすげえええええ!!!」
「使ってないやつマジで情弱ざまぁぁぁぁ!!」
みたいなテンションになる。
いや、あの、
その2つ、中身同じAIですから。
って毎回思うんですよね。
なぜこんなことが起きるのか
結論から言うと、AIの問題ではなくて、使い方と期待値の問題です。
もう少し分解すると、だいたい以下の3つに整理できます。
① 評価軸が場面ごとに変わっている
例えば、
壁打ち・相談 → 正しさを求める コード生成 → できるかどうかを求める
同じAIに対して、評価軸が全然違う。
壁打ちでちょっとズレたことを言われると「嘘つき!」になるし、
コードでちょっとでも動くものができると「天才!」になる。
でもこれ、AIの性能が変わったわけじゃなくて、 人間側の評価基準が変わってるだけなんですよね。
② 判断を任せると怒り、作業を任せると感動する
もう一つ面白いのがここで、
思考や判断を任せる → 間違うとキレる
作業を任せる → 成果が出ると感動する
という構造。
本来どちらも「ツール」なんですが、 前者だけ無意識に「意思決定者」として扱ってしまっている。
例えば、
市場分析を丸投げ → それっぽいけどズレてる →「AIは信用できない」
LPのコードを書かせる → とりあえず動く →「AIすごい」
これ、冷静に考えるとおかしくて、 どちらも「設計した人間の責任範囲」なんですよね。
③ 再現性の差を理解していない
壁打ちって、実はめちゃくちゃ再現性が低いです。
- プロンプト
- 文脈
- 前提条件
この辺が少しズレるだけで、出てくるアウトプットは簡単に変わる。
一方でコード生成は、
- 要件が明確
- 入出力がはっきりしている
- 構造がある
ので、比較的再現性が高い。
つまり、
たまたまうまくいった体験だけが強く記憶に残る
という状態が起きやすい。
その結果、
「AIすげえ!」と「AIクソ!」が同じ人の中に共存する。
でも、ここで一つ勘違いがある
ここまで読むと、
「壁打ちは不安定だけど、コードは正確」
みたいに思う人もいるんですが、それも違います。
同じくらいの頭脳のAIが動いている以上、間違いのレベルは本質的に同じです。
つまり、
壁打ちでズレるレベルのミスは、コードでも普通に起きている
ただ、それに気づいていないだけ。
コードで起きている“見えていないミス”
例えばよくあるのが、
- 仕様を微妙に誤解したまま実装している
- エッジケースが抜けている
- エラーハンドリングが甘い
- セキュリティ的に危ない書き方をしている
これ、全部「壁打ちでのズレ」と同じ種類の問題です。
ただし違うのは、
壁打ち → その場で違和感として気づきやすい
コード → とりあえず動くから気づかない
という点。
「動く=正しい」ではない
ここが一番危ないところで、
コードって動いた瞬間に「正解っぽく見える」んですよね。
でも実際には、
想定外の入力で壊れる データが壊れる 後から修正コストが爆発する
みたいな地雷が普通に埋まっている。
つまり、
壁打ちでキレている人は、コードでも同じレベルでミスを踏んでいる可能性が高い
ただ、それにまだ遭遇していないか、気づいていないだけ。
典型的な事例
ケース①:営業戦略をAIに丸投げする人
「うちのサービスの営業戦略考えて」
→ AIがそれっぽいことを言う → なんか浅い →「AIってこのレベルなんだよな…」
これ、そもそも入力が雑すぎる。
ケース②:GASでメール送信ツールを作る人
「このスプレッドシートからメール送るGAS書いて」
→ 普通に動く →「え、これ一瞬でできるのやばくない?」
→ 数週間後 → 例外ケースで送信事故 or スパム判定
ケース③:ちょっとしたプロダクトを作る人
Claudeコードとかで簡単なツールを作る
→ 動く →「もうエンジニアいらないじゃん!」
→ 後から仕様追加 → ぐちゃぐちゃで手がつけられない
じゃあどう扱うべきなのか
ここまでの話を踏まえると、整理はシンプルです。
① AIは「意思決定者」ではなく「実行装置」 判断は人間、実行はAI
② 評価軸を固定する 用途ごとに評価基準を決める
③ 再現性を設計する プロンプトを固定する 入力フォーマットを揃える 前提条件を明示する
④ 「動いたらOK」を捨てる テストする レビューする 想定外を潰す
結局なにが起きているか
ここまで全部まとめると、
AIを評価しているようで、実は自分の使い方を評価している
AIの性能に一貫性がないんじゃなくて、 使う側の評価基準と設計に一貫性がないだけなんですよね。
少しだけメタな話
これ、実は組織マネジメントとほぼ同じ構造です。
- 評価基準が曖昧 → ブレる
- 成果定義が曖昧 → 感情で判断する
- プロセスが見えない → 過大評価 or 過小評価
AIに対して起きていることって、そのまま人に対しても起きる。
最後に
AIにキレるのも、AIに感動するのも別にいいんですが、 せめてそこは切り分けたほうがいい。
同じツールに対して、
- 判断を任せて失敗してキレる
- 作業を任せて成功して感動する
- コードでは同じミスに気づかず感動する
この状態を繰り返している限り、 本質的には何も進んでいないので。
冷静に見るとシンプルで、
AIはずっと同じことをしている。変わっているのは、使っている側だけ
この認識に立てるかどうかで、 今後の使い方は結構変わるんじゃないかなと思っています。
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目標設定でAIに何を任せて何を任せないかはAIで目標設定はどこまでできるのかに書きました。